空飛ぶ河馬と動物園の未来
2016年7月22日

空飛ぶ河馬と動物園の未来


夏休みのある一日、「行動展示」で知られる旭山動物園へ。

旭山動物園を訪れるのは2回めになる。
斜面の高低差を利用して作られた展示施設に加え、売店などに見る中高年スタッフの活き活きとした様子、掲示された手作りで丁寧なテキストなど、とても気持ちの良い動物園で、安価な入園料や空港から30分という便の良さも魅力だ。
何より動かない動物はふくろうとカピバラくらい(笑)なので見ていて飽きることがない。

今回は2013年暮にオープンしたカバの水中遊泳を楽しみにして行った。
水中を飛ぶように走る(泳ぐ)河馬の姿は優雅でチャーミングで最高!

しかしどんなに素晴らしい動物園でも、檻の中の動物への申し訳無さを心の隅に押し込めなくてはならない。飼育を担当する人、動物園の経営に当たる人たちは、この仕事の意味をどう捉えているのだろう。

旭山動物園の園長は、増えすぎたエゾシカの駆除を相談され、考えた末にハンターの資格をとり、狩猟に同行して命と向き合う経験をしたと何かで読んだことがある。
増えすぎて害獣とされるエゾシカだが、同園には「エゾシカの森」もあり、いくつかの家族が飼育展示されている。

それから、動物ふれあいコーナーではイエネコが飼われていた。天売島で絶滅危惧種の海鳥を襲い問題となっている、野生化したイエネコ「天売猫」を順化(ペット化)するプロジェクトに協力しているとのことだった。

シロクマやトラの保護と、エゾシカやイエネコの問題は地続きであることを伝えたいのだと思う。

「もぐもぐタイム」では、若い飼育員が「この動物園にいる多くの動物は、30年後には絶滅してしまうでしょう」と観客に語りかけていた。それは動物園の未来に関係することでもある。30年後、動物園の中で交配に成功した種だけが「動物園亜種」として存続していくことになるのだ。

実存する環境との関係が切れてしまったとき、動物園の役割はどうなるのか。

環境教育機関としての役割は薄れ、より見世物的なエンターテインメント性を期待されるようになってしまうかもしれない。アルビノ種が話題を集めるといったようなことは今でもよく耳にするが、交配によって見応えのある、あるいは管理しやすい動物を開発しようとする研究者がでてくるのではないかと想像して嫌な気持ちになった。
想像するのはそこでやめて、改めて気持ちよさそうな河馬の遊泳を眺める(iPhoneでいつでも眺められる♪)

「動物可愛い!だけではなくて、この機会に人間が彼らの棲む環境を壊しているということについても、考えてみてください」と、もぐもぐタイムの飼育員は締めくくった。
環境保護、お馴染みの言葉だが、改めて考えさせられる。

日々の暮らしの中で、私たちにできることが無いわけではない。

できるだけ省エネ・省資源で、ゴミを出さない暮らし方をすること。
あの美しい生き物たちが地球のあらゆる場所ですこしでも長く存続することを願って、
振る舞いに気をつけよう。

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